サイトを直して問い合わせが増えたのに、営業からは「商談になる話が増えた実感がない」と言われる。BtoB のサイトを運営していると、こうしたずれに出会うことがあります。原因の多くは、問い合わせ数だけを成果として見ていることにあると考えています。
この記事では、問い合わせが月に数件程度の会社を想定して、商談化率や受注まで見る指標の置き方と、母数が小さくても使える記録の付け方を整理します。AI 検索経由の流入をどう測るかは別の記事で扱っており、ここでは、問い合わせが来たあとの商談・受注をどう追うかに絞ります。
問い合わせ数だけを見ると、何を見落とすか
BtoB サイトの改善指標について、スタートリンクの解説記事は、問い合わせ後の商談と受注を、サイトの数字と同じデータベースで追えるようにしておくことを勧めています。理由として、営業側の「商談にならない問い合わせばかり」というずれが起こりやすいことを挙げています(出典(BtoB サイト改善の解説記事))。
同じ記事は、フォームの項目を減らしてハードルを下げた結果、質の低い問い合わせが増えることもあると述べています。入力の手間を減らせば件数は増えやすい一方で、それが商談につながるかどうかは別の話です。
費用の面でも同じことが言えます。ショップオーナーサポートの解説記事は、リード獲得の指標を表にまとめた上で、次のように述べています。
CPLが低い施策でも、有効な商談が少なければ、営業成果に対して効率がよいとは限りません。
出典:BtoB リード獲得の指標の解説記事(ショップオーナーサポート)
同じ記事では、商談化率を「獲得したリードのうち、商談を実施した割合」、受注率を「実施した商談のうち、受注につながった割合」と定義しています。つまり、問い合わせ、商談、受注の 3 段階それぞれで、次に進んだ割合を見るという考え方です。
母数が小さい会社の困りごと
ただ、月に数件の問い合わせでは、割合を出すこと自体が難しくなります。たとえば問い合わせが 4 件で商談が 1 件なら商談化率は 25% ですが、翌月に 2 件になるだけで 50% に変わります。件数が少ないうちは、率の増減はほとんど偶然の揺れであり、施策の良し悪しを表しているとは言えません。
そこで私たちは、少ない件数のうちは率を追うのをやめ、1 件ずつの中身を残すことを勧めます。
件数が少なくても使える記録の付け方
表計算ソフト 1 枚で足ります。問い合わせ 1 件につき 1 行とし、次の項目を残します。
- 受け取った日
- 経路:紹介、検索、直接(メールや電話での連絡)、その他の 4 つ程度に絞る
- 相手の種類:自社が想定している客層に当てはまるか
- 結果:商談になった、見送った、受注した
- 見送った理由:予算、時期、対応範囲外など、一言で
- 結果を確認した日
ポイントは、経路を分けて残すことです。BtoB では、紹介で来た相手と、検索で来た相手とでは、商談になる確度も、話が進む早さも違うことが多いと考えています。まとめて「問い合わせ 5 件」と数えると、この違いが見えなくなります。
経路の記録は、問い合わせフォームに「どこで当社を知りましたか」という選択式の項目を 1 つ足すだけでも取れます。電話や紹介の場合は、受け取った人が書き込むルールにします。
判断の置き方:率ではなく、先に決めた基準で見る
記録を取っても、見るたびに結論が変わっては意味がありません。スタートリンクの記事も、変更前に、どの変化なら施策を続けるかの基準を決めておくこと、数字が合わないときは比較を止めて計測を整えることを手順に挙げています。
少ない件数のときは、次のような基準が使いやすいと考えています。
- 経路ごとに、見直しを判断する件数をあらかじめ決める。 たとえば「検索経由が 10 件たまるまでは、サイトの大きな変更をしない」のように決めます。
- 見送りの理由に偏りが出たら、そこを直す。 見送り理由の多くが「対応範囲外」なら、サイトの説明が実際の対応範囲と合っていない可能性があります。件数が少なくても、同じ理由が続けば手を打つ根拠になります。
- 率は、件数がそろってから見る。 率を出すときは、ショップオーナーサポートの記事のとおり、獲得時期が同じリードを一定期間追って比べます。
獲得時期が同じリードを一定期間追い、その後の進捗まで比較しましょう。
出典:BtoB リード獲得の指標の解説記事(ショップオーナーサポート)
商談までの期間が長い商材では、直近の問い合わせはまだ結果が出ていません。同じ記事も、商材によっては直近のリードをすぐに評価できない点に注意するよう述べています。結果を確認した日を残しておくと、どの問い合わせが未確定なのかが分かります。
受注までの記録を、仕組みに任せるタイミング
手作業の台帳は、問い合わせが月に数十件になるころまでは十分機能すると考えています。それを超えると、記入漏れが増え、問い合わせと商談を別々のツールで管理していると突き合わせが負担になります。スタートリンクの記事は、問い合わせとその後の商談・受注を同じデータベースで追えるようにしておくと、数字の改善が売上につながっているかを確かめられると述べています。
自社のサイトや業務アプリに問い合わせ管理の機能を持たせる場合も、最初から作り込む必要はありません。まず台帳で運用し、項目や集計の見方が固まってから仕組みにするほうが、作り直しが少なくなります。
まとめ
- 問い合わせ数だけでは、商談にならない問い合わせが増えていても気づけない
- 商談化率と受注率は、問い合わせ、商談、受注の 3 段階で次に進んだ割合を見る指標
- 母数が小さいうちは率を追わず、経路ごとに 1 件ずつ、結果と見送り理由を残す
- 見直しの基準は、記録を取る前に決めておく
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